今年もあと半月ほど。
「本屋のオバさん、今日も行く」 の「オバさん」にブログ友達にしていただいたので、少しは読書をしてみようと思った。
★ 『ショック ドクトリン』 上下 ナオミ・クライン
★ 『素晴らしい新世界』 池澤夏樹
★ 『老いの才覚』 曽野綾子
ほかには原子力関係、ファンタジー、児童書、時代小説など少々。
『ショック ドクトリン』は上下あわせて700ページくらいあるのでまだ読んでいる途中だが、前書きだけで、あるいは副題を見ただけで十分ショックを受ける。
副題は「惨事便乗型資本主義の正体」という。
大災害や戦争など未曾有の事態に見舞われた人々が衝撃を受け、茫然自失してなすすべがない間に、復興、援助と称して大儲けする企業群とそれと手を結んだ政治家たち。あとには災害前より貧しくなった人々が取り残される。
ハリケーンカトリーナやスマトラ沖津波、イラク戦争など具体例をあげて細かく検証し、読んでいる方もそうだったのかとショックで茫然とする。
○ 読んでいて東日本大震災の復興への警鐘となると思った。
○ もう一言 飽くなき民営化で、地方自治体まるごと、あるいは戦争まで民
営化する究極の実態が明らかになって驚く。
○ さらに一言 前に同じクライン作の「ブランドなんかいらない」を読んだが
読みにくくて挫折。その点こちらは日本語訳が読みやすかった。
『素晴らしい新世界』は10年も前の本なのに、逆に今だからの新しさを感じた。
『ショック ドクトリン』とは正反対の生き方をする人々の物語だ。企業で技術者として働く主人公が、ネパールの奥地の人々のために再生可能エネルギーのひとつ、風力発電機の開発に取り組む。
慈善でも何でもなくちゃんと商品として正当な利益をあげるための仕事が、主人公の家族も巻き込んで、家族・宗教・国家・環境・民族・・・多岐にわたって物語が進んでいく。
○ 読後感 すがすがしかった。
○ もう一言 池澤夏樹という人は考えがぶれない。
○ さらに一言 岩波が出している「読書のすすめ第10集」を読むとこの人がぶ
れない理由が分かる。
『老いの才覚』
実は曽野綾子という人はあまり好きではない。というのも、体制側が都合よく受け取りそうな発言をするのだ。
「格差社会だと言われていますが、日本ほど格差のない社会はない。誰でもタダで救急車に乗れる国は非常に少ない。国民健康保険や年金、生活保護法がある国などめったにありません。地震や台風で被災したときだって日本は大したものです。とにかくその日のうちからパンを配るでしょう」
この人はアフリカなど貧しい国々をよく見て作品も書いているので、日本がどれだけ先進国として恵まれているか強調する。
それはその通りなのだろう。私たちの中にはわがままな人たちも相当いる。
しかし、この人には下には下がある、上を見たらきりがない、というふうに不満を言わせなくする傾向がある。震災にも格差にもこんなに耐えて暴動も起こさない国民なのに。
でも、個人の生き方としては 実に参考になった。この人もカトリック信者としてぶれないのだ。
○ 読後感 好きな作家でなくても読んで良かった。
○ もう一言 「年の取り方を知らないわがままな老人が増えている」と指摘して
いて、なるほど背筋が伸びる。
○ さらに一言 それでもこの人あまり好きになれない。
今年は大震災、原発事故のほかにもほんとに災害が多かった。
何年か前に新聞で見た川柳に
『こわいもの 見せてあげよう ほら未来』
というのがあって、いまだにその毒気が忘れられない。
未来を怖いものにしては子供たちに申し訳ない。
少しは希望の持てる来年が来ますように。
え、ここまで読んでくださったのですか?
ありがとうございます。
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